猫で見る江戸幕末の暮らしぶり、猫のも人のも『ねこのおもちゃ絵』

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「おもちゃ絵」と呼ばれる、錦絵の一種がありまして、日本大百科全書では

子供の手遊び向きの図柄に描かれた浮世絵版画(絵草紙)の一種。玩具(がんぐ)絵。江戸時代の安政(あんせい)(1854~60)前後から明治中期にかけて流行し、当時の子供たちに親しまれた。

と解説されるものであります(こちらこちらの解説もご参照あれ)。そのおもちゃ絵には、猫をモチーフにした一ジャンルがあるそうで、そんな猫おもちゃ絵だけを集めて集めて一冊にまとめ上げてしまった、歴史好き×猫好きというニッチな市場にターゲットした書籍が、こちらの『ねこのおもちゃ絵』であります。

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浮世絵の猫ブームに端を発した、猫おもちゃ絵ブームは、幕末から明治にかけて数多くの種類が作られ、猫おもちゃ絵だけでも100以上の作品が現存しているのだそうです。

おもちゃ絵隆盛の理由の一端として「天保改革以来,一枚絵,ことに子どもものは当局に大目に見られたこともあって,おもちゃ絵はさかんに作られた。(世界大百科事典 第2版)」とあり、肖像権云々で姦しい現代に「猫ならよかんべ」とばかりに盛んに猫ンテンツが跋扈する状況と重なる何かが見えるような気もして参ります。また、当時個人が手のひらの上で鑑賞する浮世絵や錦絵、おもちゃ絵に猫ブームが来るというのも、スマホで猫動画をちまちま見ている自らを省みて「ああ、日本人は、すでにこの道を何度も通って来たのであったか」と万感が胸に去来する次第です。

そんなことはさておき、当時の猫風俗(障子で爪を研いだり、昼寝したり、おひつを開けてつまみ食いしたり)も、人の風俗もまとめて描かれた『ねこのおもちゃ絵』を見ますと、「あのころの飲食店は椅子がなくて、畳敷きだったのだな。あの時代劇のシーンは現代風にアレンジしたものだ」と勉強になったり、現代かな遣いの振り仮名付きで、当時の話し言葉がよくわかったりと、猫の絵を見ているだけで歴史の知識が身につく一冊となっております。気になるお値段は、税抜き1300円となっています。

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『ねこのおもちゃ絵』/小学館 via 読者投稿]

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