2023年癸卯、明けましておめでとうございます。挨拶もそこそこに早速新年最初の猫ニュースをば。猫の話題に耳聡い読者諸賢はすでに新聞各紙の報道でお聞き及びかもしれませんが、三毛猫の毛色の謎が解明するかもしれないクラウドファンディングの話であります。
九州大学の佐々木裕之名誉教授が主導する「三毛猫遺伝子探索プロジェクト」では、昨年12月12日からクラファンによる寄付金募集をスタート。記事執筆(2022年年末)現在、目標額の97%の寄付を集め、目標とする500万円の到達まであと一歩という状況であります。
イングランドの遺伝学者・Mary Frances Lyon氏が1961年、Nature誌に発表した論文「Gene Action in the X-chromosome of the Mouse」で示した「X染色体の不活性化仮説」は、なぜ三毛猫のほとんどが雌なのかという理由を説明するものとして知られていますが、遺伝子の働きを調節する仕組みについて長年研究してきた佐々木先生によると、どの遺伝子が毛色を左右するのかは未解明なのだそうです。
しかし、その説明により「遺伝子がどの染色体に存在するか」は明らかになりましたが、実際に「どの遺伝子が、どのように毛の色を作っているのか」までは解明されていません。
例えるならば、遺伝情報全体をひとつの図書館としたとき、どの本に書かれているのかまではわかっていますが、本の中のどの文章にあたるのかがわかっていない状態です。よって、その本について最先端の技術で、詳しく調べていく必要があるわけです。
「三毛猫の毛色をつかさどる遺伝子を解明したい!〜60年間の謎に挑む〜」プロジェクトページより
「X染色体の不活性化仮説」発表以来、60年あまり解明できていなかった毛色遺伝子の実体を、猫のゲノム解読を通じて解明につなげようというのが、本プロジェクトの目的であります。
支援された研究資金は「研究に必要な消耗品費・人件費・機器使用料・光熱水費などに使用」され、研究の成果は学会・学術雑誌のほかWebサイトや一般向けの講演を公開されるほか、猫のゲノムや遺伝子の解読情報は公共の研究DB経由で、世界中の研究者・獣医にも公開するとのこと。
三毛猫の毛色をつかさどる遺伝子の探究が、猫好きの好奇心を満たす発見に、ひいては将来的な猫の病気の治療や動物福祉に役立つ可能性もあります。胸がときめくお金の使い道とは、まさにこのことであります。
新着情報には多数のメディアでの掲載情報などが数日おきに公開され、また応援コメント欄では続々と寄せられる支援の声のすべてに佐々木先生ご自身がお返事をされる様子が見られ、支援モチベーションをくすぐる仕掛けも満載であります。
寄付金額は5千円〜100万円の8タイプ(システム利用料は別途)。1万円以上の寄付には「研究報告書(PDF)」と「その報告書に名前が掲載される特典」が付与されており、そのためか1万円の寄付が一番人気となっております。
これまでもREADYFORにおいて研究活動への支援を募るクラファンを実施し、そのすべてで目標金額を達成してきた九州大学。過去のクラファンでの平均達成率は200%、最大達成率は428%となっております。これまでの達成率記録を圧倒的に更新する、猫を愛する皆さまの胆力の見せどころなのは間違いないのではないでしょうか。
2匹の三毛猫と暮らす私としても、“三毛猫遺伝子”解明を心から願う次第であります。寄付募集は1月31日(火)午後11:00まで。寄付金控除の対象となっておりますので、各自治体の猫助け系ふるさと納税はもう制覇したという方におかれましては、ぜひ寄付先候補の一つに加えていただければ幸いです。
[三毛猫の毛色をつかさどる遺伝子を解明したい!〜60年間の謎に挑む〜/READYFOR]
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