各地に広まりつつある「ミルクボランティア」とは、きめ細かなケアが必要な子猫や子犬を世話する一時預かりボランティアのこと。Googleで検索すると、「ミルクボランティア」のあとに地域名がサジェストされ、募集のある自治体がそれとなく分かるようになるほど、検索リクエスト件数が多くなっているのが伺えます。
その「ミルクボランティア」制度が実施されている熊本市動物愛護センターを丹念に取材し、その取り組みや制度化の過程やご苦労、ミルクボランティアの声を集めた一冊が、こちらの『赤ちゃんネコのすくいかた』。同市では2015年の2月から公募がスタートし、「ミルクボランティア」が制度として動き始めたのですが、そこへ漕ぎ着けるきっかけとなったのは、梅崎さんという、1人の女性の活動だったといいます。
本書は、「ミルクボランティアとは何か」をひもといてくれます。そこから導かれる一つの結論は、「預かる命の変わらぬ重さ」であります。ミルクボランティアは、預かる期間こそ短いものの、生後間もない子猫であるが故に、その最中に天に召されてしまう命も少なくありません。里親として成猫を迎えるのと同じように、命を預かることに変わりはないのです。
乳飲み子は、いちど体調をくずすと、かんたんに命を落としてしまうことがあり、『命をすくうボランティアをしたいと思って、この活動に参加したのに、死に直面することがあって、つらい……』と落ち込んでしまう方もおられたそうです。
(本書39ページより)
最後まで読み通すと、もう一つの答えが見えてきます。それは、失われやすい命は、すなわち、適切なケアで救える命だということです。手が足りないという理由だけで失われてしまう命の数を減らす手立て、その一つが「ミルクボランティア」だと気づかせてくれるのであります。もちろん、手立てはそれだけではありませんので、個々人の裁量に応じて選ぶべきですが、もしも、これから「ミルクボランティア」を行おうとする人ならば、本書を一読しておくべきといってもいいでしょう。
[『赤ちゃんネコのすくいかた 小さな“いのち”を守る、ミルクボランティア』 児玉小枝(写真・文)/集英社みらい文庫]
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