行政書士ADRセンター東京主催の「地域猫シンポジウム2015」レポート

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全国で広がる「地域猫活動」に対する自治体の取り組みや、ボランティア団体による代表的な事例、そして、地域猫にまつわるトラブル事例における行政書士の調停を紹介する「地域猫シンポジウム2015」が、2月27日に、東京都渋谷区の行政書士会館で開催されました。

行政書士の役割は、当事者間の調停によるトラブル解決のサポート。今回のシンポジウムを主催した「行政書士ADRセンター東京」では、行政書士の専門的知見に即して、4つの専門分野を定めています。その一つが「愛護動物(ペットその他の動物)に関する紛争」で、ペットによる噛みつき事故や鳴き声をめぐるトラブル、餌やりに関する紛争などを取り扱っています。

ちなみに、TOP写真の猫キャラは、行政書士のマスコット・ユキマサ君。2月22日は猫の日であるとともに、行政書士記念日でもあるとのこと。キャラの名前の由来も、お察しの通り「行政」の音読みだそうです。

シンポジウムは二部構成で行われ、第一部では、東京都の飼い猫のいない猫対策と、NPOによる地域猫活動について発表がなされました。

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東京都福祉保険局 健康安全部 環境保護衛生課 動物管理係の山崎翔子氏からは、「東京都の飼い主のいない猫対策」についての報告。飼い主のいない猫の保護や管理というと、保健所の管轄とのイメージがありますが、都においては、保健所政令市である八王子市と町田市を除いた地域では、福祉保健局動物愛護相談センターが行っているそうです。

飼い猫対策では、猫の飼育三原則(屋内飼養・不妊去勢・身元表示)普及啓発する取り組みを行うとともに、飼い主のいない猫への対策としては、下記の6点を基本的な考え方(『「飼い主のいない猫」との共生をめざす街ガイドブック』の2ページ目にも掲載されています)としたうえで、区市町村の支援の推進を行っていると語りました。

  1. 猫を排除するのではなく、命あるものとして取り組む
  2. 飼い主のいない猫の数を減らしていくために取り組む
  3. 猫の問題を地域の問題として、住民が主体的に取り組む
  4. 地域の飼い主が猫を適正飼育していくことが前提
  5. 地域の実情に応じたルールをつくって取り組む
  6. 猫が好きではない人や猫をはじめ動物を飼養していない人の立場を尊重する

具体的な事業として、「飼い主のいない猫との共生支援事業」(動物愛護相談センターを通じた、不妊去勢手術実施など)と、「医療保険政策区市町村包括補助事業」の一環としての飼い主のいない猫対策支援をあげ、後者については「地域猫活動のまだ盛んではない地域への呼び水として継続して支援活動をしたい」と語りました。また、「平成26年 東京都動物愛護管理推進計画(ハルスプラン)」にも、飼い主のいない猫対策のさらなる拡充が盛り込まれているため、継続して対策を行っていくとのこと。

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渋谷区動物愛護推進ネットワーク代表の亀岡晶子氏からは、2004年に設立された団体のあゆみとともに、

  1. 地域コミュニティの活発化、犯罪抑止効果、防災・防犯に役立つ
  2. 多頭飼育者の情報を得やすくなり、孤独死とそれによるペットの流出を防ぐ
  3. ペット飼育のモラル向上。猫の放し飼いを減らし、不妊去勢する意識が高まる
  4. 猫が、ある程度地域にいることでテリトリーができ、新しい猫が入ってこなくなる

などといった地域猫活動による地域のメリットについての紹介がありました。また、TNR活動に「M(マネージメント)」を加えた「TNR+M」の必要性を訴え、手術後は地域住民(世話人)による、適切な世話、管理が必要で、継続しないと、意識が育たない。給餌もこそこそやるだけでは、いつまでも理解が浸透しない。昼間にちゃんと時間を決めてご飯を与える、トイレをちゃんと管理するといった、飼い猫と同じような「地域猫の管理」が大切だと述べました。

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TNR活動でおなじみの、去勢避妊済を示す「耳カット」には、「右耳カットがオス」「左耳カットはメス」とのルールがあるのだとか。ただし、地域によってまだバラツキがあるそうです。

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NPO法人東京キャットガーディアン代表の山本葉子氏からは、常設の猫カフェスタイル譲渡シェルター猫をはじめとするペットウエルカム物件のポータルサイト「しっぽ不動産」猫付きシェアハウスペット保険代理店など、さまざまな新しい取り組みを試みながら、NPOの運営と保護活動を続けているとの報告。もともと、音楽イベントを生業としていた山本氏は「エンターテインメントの手法で、ごく一般の人を呼べるようなシェルターにしていきたい。また、ネット環境にいない人をどう呼ぶか、という点にも挑戦したい」と語りました。

今後の取り組みとして、動物愛護相談センターとの共催による、地域住民との定期ディスカッションの場も設けるそうで、第一弾はさいたま市、第二弾は神奈川県川崎市での開催が決まっているとのこと。「いま起こっている問題についてディスカッションして、ともに考える。反対意見には代案を求める。そのような建設的な議論の場にしたいと思っています。クレームのある人にこそ参加してもらいたい」と、山本氏はその意図を説明してくれました。

第二部では、「公園で猫の餌やりをしている竹内さんに対して、庭の花壇を猫に荒らされて困っているという横山さん」というシチュエーションを元にした、野良猫への餌やりに対する苦情における模擬調停の実演が行われました。

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調停人の行政書士は、当事者同士による話し合いのファシリテーターとして、双方納得行く解決案を探していくことを目指す「調停」を実演。感情の泥団子を投げ合うやりとりに対して冷静に話をまとめる、調停人。模擬でコレだから、本物はもっとすごいのか…と感じさせてくれる、迫真の演技でした。ああ、トラブル解決のプロってのはすごいな、などと思う次第であります。模擬調停では30分ほどで話はまとまりましたが、実際は1〜3時間くらいかかることが多いそうです。

シンポジウムの最後に、行政書士ADRセンター東京の伊藤浩センター長は「ペットのトラブルの6〜7割は感情的な問題。謝罪の一言でトラブルが解決することも多い。対話促進型の調停が、ペットトラブルの解決策の一つになると感じていただければと思う」とコメント。

平成21年5月の行政書士ADRセンター開設以来の問い合わせ数は約600件(調停とは関係ないものも含む)で、そのうちペット関係の問い合わせは106件とのことです。ペットにまつわるトラブルは、願わくは増えてほしくはありませんが、もしトラブルが発生したときの、解決の選択肢として行政書士に調停を依頼するという方法も覚えておくといいでしょう。

また、ペット信託なんかも、行政書士と関係のある話ですので、猫ジャーナルとしては、追い追いその話も取材などしようと思っております。

行政書士ADRセンター東京

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